10 月 1 日に 27卒の内定式を終えて、ひと息ついた採用担当の方も多いと思います。ただ、28卒の新卒採用スケジュールでは、他社の多くがもう選考を始めています。ルール上の広報解禁は 2027 年 3 月ですが、28卒の採用の山はそれより半年早く、この秋から冬に来ます。

解禁日を待っていると、学生に会えるのは他社の選考が一巡したあとになります。かといって、会う回数で大手と競っても勝ち目は薄い。中小企業がこの 1 年でやるべきなのは、会う前と会えない月を動画で埋め、会う場を少なく濃くすることだと私たちは考えています。

28卒の新卒採用スケジュールはいつから? ルールでは 2027 年 3 月 1 日

28卒とは、2028 年 3 月に大学・大学院などを卒業・修了する予定の学生のことです。2026 年 10 月の今、学部 3 年生・修士 1 年生にあたります。政府の資料では「2027(令和 9)年度卒業・修了予定者」と書かれるので、年の数字が 1 つずれて見える点に注意してください。

政府は 2026 年 3 月 24 日、経済団体などに 28卒の就職・採用活動の日程を要請しました[1]。日程は 27卒と同じです。

28卒(2028 年 3 月卒業予定)の就職・採用活動の日程ルール
区分28卒の日付何を指すか
広報活動の開始2027 年 3 月 1 日以降採用サイトや就職情報サイトで、学生の登録受付を始める時点
採用選考活動の開始2027 年 6 月 1 日以降時間と場所(オンラインを含む)を決めて学生を拘束する面接や試験
正式な内定日2027 年 10 月 1 日以降正式な内定を出す日

要請の本文には、言葉の定義も書かれています。エントリーシートの提出や、ウェブテスト・テストセンターでの受検といった事前の絞り込みは、日時と場所を学生が選べるので「採用選考活動」とは区別されます[2]。

インターンシップで得た学生の情報は、解禁日から使える

インターンシップの扱いは、2022 年に文部科学省・厚生労働省・経済産業省の合意(いわゆる 3 省合意)が改正されて変わりました。5 日間以上で半分を超える日数を職場での就業体験にあて、社員が指導してフィードバックし、長期休暇中に行い、学生の情報を使うことを募集要項に書いたもの(タイプ 3)に限り、そこで得た学生の情報を使えます[3]。

使えるのは、広報の解禁(3 年生の 3 月)からは説明会の案内を送ること、選考の解禁(4 年生の 6 月)からは選考の一部を免除することなどです[3]。1 日だけのオープン・カンパニーは、そもそもインターンシップではありません。さらに、2 週間以上の専門活用型インターンシップを春休み以降に行い、高い専門性があると判断した学生に限っては、6 月より前に選考へ移れる例外があります[1]。

実際の山は、ルールより半年早い 3 年生の秋冬に来る

ルールと実際のずれは、1 つ上の学年の数字にはっきり出ています。27卒の学生の内々定率は、広報解禁の 3 月 1 日の時点ですでに 46.0%、選考解禁の直前の 5 月末には 76.4% でした[4]。6 月 1 日を迎える前に、4 人に 3 人が内々定を持っていたことになります。

0% 50% 100% 6/1 選考解禁 46.0 58.7 70.9 76.4 81.2 83.7 85.6 3/1 3月末 4月末 5月末 6月末 7月末 8月末 2026 年(27卒の 4 年生の年)
27卒の内々定率は、選考解禁の 6 月 1 日より前に 7 割を超えていた(マイナビ「2027年卒就職内定率(内々定率)の状況」[4])
数値を表で見る
時点(2026 年)27卒の内々定率
3 月 1 日46.0%
3 月末58.7%
4 月末70.9%
5 月末76.4%
6 月末81.2%
7 月末83.7%
8 月末85.6%

大学生・大学院生が対象。月ごとに回答者が違うため、厳密な推移ではない。

28卒では、これがさらに早まりそうです。学情が 2026 年 6〜7 月に企業 450 社に聞いた調査では、28卒の選考を始める時期は「3 年生の 10 月」が 16.4% で最も多く、12 月までに始める企業が合わせて 68.4% でした[5]。内々定を出し始める時期は「3 年生の 12 月」が 21.8% で突出し、年内に出し始める企業が 47.3% にのぼります[5]。

入口のインターンシップも前倒しされています。インターンシップやオープン・カンパニーの広報は「3 年生の 4 月」に始めた企業が 38.9%、3 年生の 4〜6 月に始めた企業は 72.2% でした[6]。28卒の学生が 3 年生になった 2026 年の春に、採用はもう動き出していたわけです。

中小企業は、大手と同じ早さで追いかけなくていい

ここまで読むと「うちも 10 月から選考を」と考えたくなります。ただ、早さだけで競うと、中小企業は不利な勝負を続けることになります。

同じ学情の調査で、28卒の採用を「難しい」「やや難しい」と答えた企業は合わせて 77.4% でした[7]。理由には「大手が採用人数を増やしているため中小企業のアピールが難しい」「初任給や待遇面で大企業との競争が厳しくなっている」という声が並んでいます[7]。インターンの回数や説明会の規模で大手と並ぶのは、人も予算も足りない会社には現実的ではありません。

学生の側も、手当たり次第に会社と会っているわけではありません。28卒の学生の 77.0% が、インターンシップなどの活動で時間の効率(タイパ)を意識していると答えています[8]。時間を効率よく使うためにしたこととして、「1 日で複数社の話を聞けるイベントに参加した」(37.0%)、「AI を活用して企業研究や業界研究を行った」(34.1%)が挙がっています[8]。

私たちは、中小企業が取るべき道は早さではなく、会う前の分かりやすさだと考えています。学生が「この会社のことは、会う前からだいたい分かった」と思えれば、会う場が年に数回でも、来る学生の志望度は高くなります。早期選考を全部やめる必要はありません。ただ、他社の選考の時期に合わせて急ぐより、学生が会社を知る入口を先に作るほうが効きます。

もう 1 つの手は、28卒だけに絞らないことです。政府の要請は、卒業後少なくとも 3 年以内の既卒者が新卒の採用枠に応募できるようにすることを企業に求めています[2]。学情の調査では、既卒や第二新卒を含む「20 代通年採用」をすでに行っている企業が 50.2% ありました[7]。新卒で入った会社が合わずに次を探す若手は、同じ動画を見て応募してくる候補でもあります。

2026 年 10 月から 2027 年 10 月までの計画表

28卒の採用を、今から内定日まで月ごとに並べると次のようになります。他社の動きは学情とマイナビの調査、日付は政府の要請によります[1][5]。自社でやることと動画の出番は、編集部の考える目安です。

2026 年 10 月から 2027 年 10 月までの年表。上の段に政府のルール(3 月 1 日広報、6 月 1 日選考、10 月 1 日内定)、中の段に他社の実際(10〜12 月に選考開始の山、内々定出しも 12 月が最多)、下の段に動画を使う時期
ルールの日付と、他社が実際に動く時期と、動画の出番を 1 本の年表に重ねた
28卒の採用計画表(中小企業向けの目安)
時期学生と他社の動き自社でやること動画の出番
2026 年 10〜12 月秋冬のインターンシップ・オープン・カンパニー。他社の選考開始と内々定出しの山夏に会った学生へ連絡を続ける。冬のプログラムの募集募集ページに「仕事の 1 日」「一緒に働く人」の動画を置く
2027 年 1〜2 月冬のインターンシップ。春休みの予定を決める時期5 日間以上のタイプ 3 を春休みに行うなら、募集要項に学生情報の使い方を書く会社説明の中身を、質問ごとの短い動画に分けて撮っておく
2027 年 3 月広報解禁。採用サイトの登録受付が始まる採用ページの公開。タイプ 3 の参加者に説明会の案内採用ページに、学生が知りたいことを選んで見られる動画
2027 年 4〜5 月説明会。エントリーシート・ウェブテスト説明会の回数は絞り、残りは動画で代える面接官の紹介と、選考の流れの動画
2027 年 6〜9 月選考解禁。面接と内々定面接。タイプ 3 の参加者は選考の一部免除もできる動画の提出を求めるなら、ここから。内々定者に配属先の動画
2027 年 10 月〜正式な内定。入社までのフォロー内定式。会えない月の連絡を計画する先輩・配属先の近況を、会えない月ごとに

内々定のあとの半年は、辞退が起きやすい時期でもあります。月ごとのフォローの組み方は内定辞退を防ぐ時期別の手順にまとめました。

学生の側からこの 1 年がどう見えているかは、姉妹サイトの28卒の就活スケジュールと各時期にやることに書いています。学生が何月に何で迷うかを知っておくと、連絡の中身を決めやすくなります。

動画は「会う前」と「会えない月」に置く

動画のいちばんの使いどころは、学生がエントリーを決める前です。学情が 26卒の学生 564 人に聞いた調査(2024 年)では、就活準備の情報集めに動画を「活用したい」「どちらかと言えば活用したい」が合わせて 8 割を超え、動画を見たい時期は「インターンシップへのエントリー前」が 81.2% で最も多くなっていました[9]。同じ調査で、会社を理解するために参考にしたいものの 1 位は「先輩社員の話」(66.7%)です[9]。

つまり、学生は会う前に、働いている人の話を見て選びたい。説明会で社長が会社の歴史を話す動画より、入社 2 年目の社員が「1 日の流れ」と「最初の半年で大変だったこと」を話す動画のほうが、この時期の役に立ちます。

学生ごとに知りたいことが違うので、1 本にまとめない

配属や異動が気になる学生もいれば、研究と仕事のつながりを知りたい学生、転勤があるかだけを確かめたい学生もいます。全部を 1 本の会社紹介に入れると長くなり、だれにとっても半分は関係の無い話になります。

動画で採用では、撮った動画をシーンに分け、「配属はどう決まる?」「転勤はある?」といった選択肢で、学生が知りたいところへ進めるようにしています。どこで見るのをやめたか、どの選択肢が多く選ばれたかが分かるので、3 月の説明会で何を話すべきかを決める材料にもなります。

動画を見せるのは選考ではない。動画で選ぶのは選考

線を引いておきたいのは、動画の向きです。会社が仕事や職場を動画で見せるのは選考ではないので、インターンシップの募集ページでも使えます(採用の登録受付を始めるのは 3 月 1 日からです)。反対に、学生に自己紹介の動画を出してもらい、それで合否を決めるなら、選考の一部になります。

政府の要請は、日時と場所を決めて拘束する面接や試験を「採用選考活動」とし、エントリーシートやウェブテストのような事前の絞り込みは区別しています[2]。録画した動画の提出がどちらに当たるかは、要請には書かれていません。私たちは、動画の提出で合否を決めるなら、6 月 1 日以降に置くのが要請の趣旨に沿うと考えています。

2026 年 10 月から、就活生へのセクハラ防止が全ての会社の義務になった

28卒の採用は、法律の変わり目とも重なっています。2026 年 10 月 1 日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防ぐ措置が、規模を問わず全ての事業主の義務になりました[2][10]。28卒の要請も、この施行を踏まえて採用に関わる社員へのルールの周知を求めています[2]。

対象は応募者だけではありません。説明会、社員への訪問(OB・OG 訪問)、インターンシップへの参加も「求職活動等」に含まれ、SNS などオンラインのやり取りも対象です[10]。事業主が講じる措置は 11 項目あり、そのうち採用担当が先に手を付けたいのは次の 3 つです[10]。

  • 求職者等へのセクハラをしてはならないという方針を決め、社員に伝える
  • 面談の時間と場所、立ち会う人数、学生とのやり取りに使う SNS など、求職活動等のルールを先に決め、社員と学生の両方に知らせる
  • 相談窓口を決め、学生にも知らせる

2 つ目と 3 つ目は、学生にも知らせることが求められています。採用ページや、インターンシップの案内の動画で「面談は社内か、オンラインで、平日の日中に行います」「困ったときの相談先はここです」と伝えておけば、学生も安心して参加できます。

個別の判断は専門家に

自社のルールが措置として足りているか、起きてしまったときにどう対応するかは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)や、社会保険労務士・弁護士に相談してください。